会長挨拶
第71回日本音声言語医学会総会・学術講演会
会長 渡邊 雄介
(国際医療福祉大学 東京ボイスセンター長)
この度、第71回日本音声言語医学会総会・学術講演会を2026年10月23日(金)・24日(土)の2日間、国際医療福祉大学・赤坂キャンパスにて開催させていただくこととなりました。
伝統ある本総会の主催を務めさせていただくことは大変光栄に存じるとともに、その重責に身の引き締まる思いでございます。関係者の皆様へ心より感謝申し上げます。
本総会のテーマは「エンターテインメントと音声言語医学」といたしました。その背景には、学術的な問題意識に加え、私自身の原体験があります。
私の亡き父はテレビ局に勤務し、かつて深夜ラジオ番組の制作に携わっておりました。幼い頃、家庭には常にラジオの音があり、声だけで人を楽しませ、励まし、社会とつながるエンターテインメントは、私にとってごく身近な存在でした。一方で、私は病弱な子どもでもあり、医療機関を訪れる機会が多く、自然と医師という存在に憧れを抱くようになりました。振り返れば、「表現としての声」と「治療の対象としての声」は、私の中では幼少期から並行して存在していたように思います。
音声と言語は、生命維持に不可欠な機能であると同時に、人の感情や創造性、文化を担うものです。私たちはこれまで、「障害された音声・言語をいかに回復させるか」という視点を中心に、音声言語医学を発展させてきました。しかし近年、プロ歌手、俳優、声優、アナウンサーなど、声を職業とする人々と関わる中で、「正常とは何か」「治癒とはどこを目標とすべきか」という問いに、改めて向き合う必要性を感じています。
本総会では、こうした問題意識を共有するため、特別講演として、現在第一線で活躍されている歌手や声優の方々にもご登壇いただく予定です(交渉中)。表現の現場で実際に声を使い続けている立場から、声のコンディション、障害への向き合い方、そして医療に対する期待についてお話しいただくことで、私たちに新たな視点をもたらしてくださるものと考えています。
さらに本総会は、聴講するだけでなく、実際に声や音に触れ、体験し、考える「参加型の学術集会」であることを目指しています。その一環として、歌唱のワークショップや、声優としての台詞表現を体験するワークショップを企画しております。加えて、人工内耳装用者による音楽演奏も予定しており、聴覚補償医療がもたらす可能性を、医学的評価だけでなく、表現としての音楽という形で共有する貴重な機会になると考えています。これらの取り組みは、表現行為そのものを研究対象として捉え、声や音の知覚・制御・負荷・回復を身体感覚として共有することで、音声言語医学の臨床と基礎を結び直す学術的試みでもあります。
会長講演ならびに特別講演、ワークショップを通して、声と音の可能性と限界、個性と障害、治療と表現の境界について、皆様とともに考えていきたいと思います。
また、今年もポストコングレスセミナーを10月25日(日)に予定しております。実技を中心に現在、企画中です。
本総会が、音声言語医学のこれまでを振り返ると同時に、次の時代に向けた新たな展望を切り拓く場となることを願っております。
今回、会場である本学の赤坂キャンパスは都心に位置しアクセスにも恵まれております。
近くには赤坂サカスや国会議事堂、東京ミッドタウン、六本木エリアにも近く、秋の心地よい気候の中、東京ならではの街並みや文化をお楽しみいただけます。
最後になりますが、本総会開催にあたり多大なるご支援を賜りました関係各位に深く感謝申し上げるとともに、皆様にとって実り多い学術集会となることを祈念し、会長挨拶といたします。

