会長挨拶

会長 原 浩貴

第35回 日本口腔・咽頭科学会総会ならびに学術講演会
会長 原 浩貴
(川崎医科大学 耳鼻咽喉・頭頸部外科学)

このたび、第35回 日本口腔・咽頭科学会総会ならびに学術講演会を担当させて頂くことになりましたので、ご挨拶させて頂きます。会期は2022年9月8日(木曜日)~9日(金曜日)で、岡山県倉敷市の倉敷市民会館で開催させていただきます。過去2年間は新型コロナウイルス感染症のため、多くの学会でWEB開催やオンデマンド方式の開催となり、学会会場で対面による熱い討議が行われる機会が少なくなっていました。本年はようやくコロナ関連の規制も緩和される方向となり、多くの先生方に現地参加いただける環境が整いつつあります。本学会の一般演題応募数は、169題と非常に多くの先生方に登録頂きました。心より感謝申し上げますとともに、一人でも多くの先生方に現地にお越し頂き、リアルタイムで口腔・咽頭科学における最新の知見を共有いただけるよう準備を進めております。

会場のご案内

倉敷市はかつて江戸幕府の直轄領「天領」であり、物資の集積地として非常に栄えたまちです。倉敷の中心地である「倉敷美観地区」では現在も白壁や格子窓のある屋敷、倉敷川沿いの柳並木など、歴史のロマンを感じることができます。さらに町の建築様式に息づく江戸の風情とともに、ギャラリーや雑貨店、ジャズ喫茶や茶道家元を改築した喫茶店などが点在し、古い歴史文化の中にモダニズムの調和がみられる、魅力ある地です。今回の会場はこの美観地区近隣の倉敷市民会館としました。JR倉敷駅からはタクシーで6分ほどですが、会場の周辺を散策しながらゆっくりとお越しいただくのもいいかもしれません。

美観地区の中心にある大原美術館は、日本で初めて誕生した私立の西洋近代美術館です。倉敷を基盤に幅広く活躍した事業家 大原孫三郎氏によって昭和5年に設立されました。ギリシャ神殿を彷彿させる本館には世界画壇の巨匠作品が多数展示されています。また陶芸・木版画・染色・東洋の古代美術品も展示しており、手軽に倉敷の歴史・文化にも触れることができます。

学会プログラムのご案内

今回の学会テーマは「『天領のまち』で究める新時代の口腔咽頭科学」としました。テーマには、この「天領のまち」に集い、対面で活発な討議が行えるようにとの願いを込めました。そして本学会が対応する扁桃、味覚、咀嚼・嚥下、唾液腺、口腔乾燥、いびき・睡眠時呼吸障害、咽喉頭異常感、舌、口腔・咽頭・唾液腺に発生する様々な腫瘍や炎症など極めて多岐に渡る領域での、最新の知見を会員の皆様と共有し、「新時代の口腔咽頭科学」を「究める」機会となるよう、プログラムを企画しております。

1.シンポジウム

シンポジウム1:「新時代の小児OSA治療:未来に羽ばたく子供達を守る!」では、小児のOSA手術において安全かつ低侵襲な手術デバイス・手術手技についてご講演いただきます。

シンポジウム2:「ここまで進んだ!新時代の口腔・咽頭・唾液腺癌治療」では、咽頭癌に対するロボット手術や光免疫療法をはじめとする口腔・咽頭・唾液腺癌の最新の治療法についてご紹介頂きます。

シンポジウム3:「舌下神経刺激療法を究める〜耳鼻咽喉科頭頸部外科医が活躍するために!」では、閉塞性睡眠時無呼吸症に対し2021年6月に本邦でも保険収載された舌下神経刺激療法について、その基本的概念、手術の実際、今後の展開について先駆者の先生方にご講演いただきます。

2.パネルディスカッション

パネルディスカッション1:「新時代の嚥下診療 「いつまでも美味しく食べたい!」」(ダイバーシティ企画)では、健康長寿の要となる嚥下診療について、精力的に活動されている先生方から様々な視点からの取り組みを紹介して頂きます。

パネルディスカッション2;「耳下腺手術のスキル向上~今を見つめ未来を目指す」では、若手医師のスキルの学び方から新規デバイスの使用法まで、エキスパートの先生方に講演を頂きます。

3.特別講演・教育講演

特別講演1:今回の特別講演には、大原美術館 大原あかね理事長をお迎えし、「SDGsと美術館経営 文化は重要な鍵である」と題して美術館のご紹介を含めてご講演いただく予定です。ぜひ、学会期間中に初秋の倉敷美観地区の散策とともに美術館鑑賞をお楽しみいただければと思います。

特別講演2:厚生科学審議会 予防接種・ワクチン分科会会長代理 川崎医科大学小児科教授の中野 貴司先生に、新型コロナウイルスワクチンを中心に、臨床医が熟知しておくべきワクチンの話題についてご講演いただきます。

4;教育講演

メディカルイラストレーション学会会長 川崎医科大学特任教授 レオン佐久間先生に「メディカルイラストレーションについて 必要と役割」について、『強調と省略』をキーワードにご講演をお願いしております。口腔咽頭領域の診療には、視診で得た所見や手術所見を、適切なイラストで診療録に記録することが必要です。近年の電子カルテの普及により、イラストを記録する機会が減っているのが現状ではないかと考えます。そこで、教育講演とリンクしてハンズオンセミナーで、タブレット端末を用いてメディカルイラストレーションの作画の基本を教えていただきます。

5:海外招待講演

Stanford 大学のRobson Capasso教授をお呼びし、本邦でこれから普及していく舌下神経刺激療法の話題を含めて、スタンフォード大学での睡眠外科診療の実際をお話し頂きます。

6.特別企画

1)ミレニアルセッション
広く口腔咽頭唾液腺領域で意欲的に基礎・臨床研究を行っているミレニアル世代の先生方に、ご登壇頂き熱く語っていだたきます。

なおパネリストの一部公募を募りましたところ、大変多くの応募が有り、演者の選定には頭を悩ませました。そこで、一般演題の中にもミレニアル群を設定し、少し長めの口演時間で発表頂けるようにしています。こちらもご注目下さい。

2)ネクストジェネレーションパネル:「新時代の口腔咽頭唾液腺癌治療!U45の挑戦」
U45セッションとして、45歳前後までの新進気鋭のパネリストの先生方に、ご活動をアピールして頂きます。

3)「新時代の口腔咽頭科学を切り開く!新任教授陣による抱負と学会への提言」
新任教授の6名の先生方に抱負と口腔咽頭科学への提言をテーマにご講演いただきます。

7.教育セミナー

口腔・咽頭領域のさまざまなトピックスに注目した6つのテーマを設け、実際の診療にすぐにでも実践できる充実した内容をお話し頂きます。

おわりに

新型コロナウイルス感染対策には十分配慮し、本学会の発展に貢献できるよう、教室員一丸となって鋭意準備を進めております。新秋に、倉敷の地で「新時代の口腔咽頭科学」を究めていただきたく、教室員一同、多くの皆様にご参加いただけることを心よりお待ちしております。