この度、第29回日本外科病理学会学術集会の会長を仰せつかりました、日本大学医学部消化器外科の山下裕玄です。2025年11月7日(金曜日)、8日(土曜日)の2日間、JA共済ビルカンファレンスホールにおいて開催させて頂くことになりました。本学術集会の開催させて頂くことは大変光栄に存じます、佐田尚宏理事長をはじめ、本学会の役員、評議員、会員の皆様方に心から厚く御礼申し上げます。
外科医として、特に腫瘍外科に関わる医師として、治療を進める上で病理との協働が不可欠であることは論を俟たないと常日頃感じているところです。外科医の肉眼診断・触診では分からないミクロな診断を病理医にお任せしており、病理迅速診断に助けられたことが幾度となくあります。昨今の化学療法の進歩に伴い奏効率が上がり、初診時に根治切除不能であったstage IVであっても切除に至る症例も増えてきました(conversion surgery)。線維化の強い部位が腫瘍性か否かの判断がより困難な場合が多く、病理との協働が必須であると日々感じております。また、新たなバイオマーカーの発見と臨床導入、コンパニオン診断、コンプリメンタリー診断の機会も明らかに増え、手術中以外にも協働する機会が明らかに増えております。
日本外科病理学会はその名称に表れている様に、外科治療を提供する医師と病理医とが一堂に会するユニークな学会です。これだけ多くの協働がありながら、一堂に会する学会は限られております。さらに消化器領域に限らず婦人科領域、泌尿器科領域の医師も集まりますので、臓器横断的に外科・病理の課題および最新の治療体系を学ぶ貴重な場でもあります。
今回は、テーマを「切る目と診る目が支える治療の最前線」とさせていただきました。外科の目線と病理の目線。「患者にとっての最適な治療の提供」という共通の目的に向かって、異なる角度からのアプローチによって支えられる現在の診療をイメージ致しました。学会ポスターは日本大学芸術学部デザイン学科の笠井則幸教授にお願い致しましたが、新しい治療が進むように外科・病理のそれぞれの視線が交差したビジュアル表現となっております。今後の更なる外科病理の融合的活動が進む、実り多い学会となるように精一杯尽力する所存でございます。多くの先生方のご参加を心よりお待ち申し上げます。