ご挨拶

在宅医療 Next Stageへ:2016初夏

清野 精彦
日本医科大学千葉北総病院 院長
日本医科大学循環器内科学 教授

第27回日本在宅医療学会の開会に心からのお慶びを申し上げます。大会長、当院緩和ケア科井上大輔教授はじめ、準備に努めてこられたスタッフの皆様に心からの敬意とお礼を申し上げたいと思います。

2016年4月、診療報酬改訂が発表されると同時に、中医協は、わが国の医療政策と次期改訂に向けて重要な課題を提示しました。いよいよ病床機能制度の本格的刷新に向け再構築が始まり、「地域包括ケア病棟」、付加避である「在宅医療の実効的構築」が提示されております。

厚労省は当初から、「重度要介護状態になっても、できる限り住み慣れた家・地域で療養することができるよう」にしていくことを在宅医療の推進政策としています。これは国民大多数の希望であり、実際、緩和ケア講習会などで医療職の方々に質問しても、受講者の80%以上が「そのような場合には在宅医療」を希望しています。しかし、翻ってわが国の現状でこれが叶えられるか、という質問に対しては、その半数以上が大きなハードルを指摘しながら、「終末期は家で」の希望を諦めかけているのが現状です。「地域包括ケア」「緩和医療」「在宅医療」「終末期医療」「看取りの医療」など、わが国の加速度的な高齢化社会で、喫緊・急務の重要課題です。

大会長井上教授がテーマとされた「病気と共に家で生きる! We Will Live With Disease In Home !」に向け、本学会を契機に、我が国の在宅医療の広大な裾野が形成されていくことを確信しながらご挨拶とさせていただきます。関係各位の皆さまの更なるご指導とご高配を賜りますよう、よろしくお願いいたします。

平成28年4月吉日

第27回日本在宅医療学会学術集会開催にあたってのご挨拶

第27回日本在宅医療学会学術集会
会長 井上 大輔
日本医科大学千葉北総病院 緩和ケア科 教授
旭川大学 客員教授
順天堂大学/星薬科大学 非常勤講師

第27回日本在宅医療学会学術集会では、「病気と共に家で生きる! We Will Live With Disease In Home !」というメインテーマを掲げました。これは在宅ケアが暗いイメージではなく、たとえ、独居で病気になったとしても、住み慣れた自宅で生きることで、患者さん、介護者、医療者のそれぞれが、「生きがい」を持って楽しく生きていけると考えたからです。

現代日本は、少子・高齢化が過去に類を見ないスピードで進み、在宅医療現場では介護スタッフの負担の増大など、問題が山積しています。

このため本会では、介護者のケアと遺族ケアを含めた在宅緩和ケアを強化し、教育講演の演者、司会、座長には、いずれも本邦を代表する研究者や在宅医療を日々、実践しているベテランの先生方を招聘しました。内容も参加者の皆様に充分、満足して頂けるものと自負しております。なお、一般演題は全て口演として充分、時間を取りましたので、どうぞ活発なご討議をお願いいたします。

「日本在宅医療学会」は1990年に発足以来、医師、歯科医師、看護師、薬剤師、介護福祉士、ホームヘルパー等、様々な職種のスタッフが一堂に会す、貴重な機会を提供してきました。

このように「他職種」が一緒に議論することこそ大切で、とくに最近の患者情報共有化テクノロジー(アプリなど)は現場の様々なスタッフがアイデアを出し合って作られており、その進歩には目を見張るものがあります。日本の在宅医療の進歩・向上と在宅ケアの専門家の育成に、私が少しでもお手伝いできることを光栄に思っております。

昨今の世界的な市場の混乱や薬価の引き下げなどで、学術集会の運営は経済的に厳しさを増しております。このような時期にご協力くださった、以下の皆様に心から感謝いたします。
・参加者の皆さん
・日本医科大学千葉北総病院 院長の清野精彦先生
・分子栄養学研究所所長の金子雅俊先生
・前回会長の吉澤明孝先生
・協賛企業の方々(別記)

平成28年4月吉日