会長挨拶(平成24年2月23日)

医学・医療の中軸をなす統括病理学 ─病理学迎新世紀─

会長 岡田保典

第101回 日本病理学会総会 会長 岡田 保典
(慶應義塾大学医学部病理学教室 教授)

平成23年3月11日の東日本大震災で被災された方々に心よりお見舞い申し上げますとともに、一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。

第101回日本病理学会学総会を平成24年4月26〜28日の日程で京王プラザホテル(東京都新宿)で開催いたします。

本病理学会総会では、「医学・医療の中軸をなす統括病理学」をメインテーマに掲げるとともに、本学会が次の新しい世紀を迎えることから、「病理学迎新世紀」の副題を付けさせていただきました。基本構想としては、統括病理学の在り方や新規概念に基づく病理学研究情報、最新の病理診断や関連する臨床医学情報の提供とともに、会員による研究発表と相互の意見交換を通して、臨床医学に立脚した「実験病理学」と医療の中軸となっている「診断病理学」に関する最先端の研究情報を発表していただきます。

宿題報告として、澤田典均教授(札幌医科大学)、中村卓郎部長(がん研究会がん研究所)、上田真喜子教授(大阪市立大学)に長年にわたって蓄積された研究を毎日1題ずつご講演いただきます。特別講演では、1日目に宇宙航空研究開発機構の川口淳一郎教授に「“はやぶさ”が挑んだ人類初の往復の宇宙飛行、その7年間の歩み」と題して世界中の人々に驚きと感動を与えた人類初の偉業プロジェクトについてご講演いただき、2日目には慶應義塾大学医学部の岡野栄之教授に「再生医学・医療の現状と将来:iPS細胞を用いた神経再生・疾患研究」との題で、医学・医療の世界で現在最も注目されている再生医学・医療の現状と展望について発表していただきます。いずれも、病理学会員のみならず、東日本大震災という未曾有の災害から復興・再生を目指す我が国に大きな夢と希望を与えるお話と期待しております。

教育講演では、海外からWilliam D. Travis先生、Donna E. Hansel先生、Elizabeth M. Brunt先生をお招きし、肺癌、膀胱癌、非アルコール性脂肪性肝疾患に関してそれぞれ教育講演をいただくとともに、神経病理学、癌幹細胞と上皮間葉転換、婦人科腫瘍(子宮体癌と卵巣癌)、内視鏡手術と外科病理学に関する講演を合計9名の先生方にお願いし、これら専門分野における最新情報を提供いただきます。シンポジウムとしては、「病理学を基盤とする分子標的医学の進歩と展望」、「オミックス研究と病理学」、「統括病理学の現状と展望」の3題を企画いたしました。いずれも統括病理学の実践に大きな示唆を与える発表で、本学会テーマに直結したセッションです。

新しい企画として、若手病理診断医の教育と病理学者の育成に関する特別企画「病理学入門シリーズ」を設けました。癌病理学、炎症・免疫病理学、分子病理学の3つのトピックスに関して、これらの分野でご活躍の会員の先生方に企画をお願いし、若手会員に病理診断から研究までの方向性を示していただけると思っております。ワークショップは、公募ワークショップと日中交流ワークショップを含む10セッションを組みました。また、コンパニオンミーテングも公募で選ばれた10セッションを設けております。臓器別病理診断講習会、系統的病理診断講習会、剖検講習会は若手病理医に人気の高いセッションで、例年通り9セッションを開講いたします。全体の統一性を図るために、病理学入門シリーズ、ワークショップ、コンパニオンミーテング、病理診断講習会、教育講演でのトピックスがあまり重ならないように十分配慮して企画いたしました。

一般演題(口演270題・示説793題)と学部学生示説(48題)を加えて1,111演題のご応募をいただきました。多数の応募に関しまして会員の皆様に心より感謝申し上げます。会場の部屋数や並列セッションの制限から口演希望演題の一部である76演題を示説発表とさせていただきましたが、ご希望のかなわなかった会員の方々にはこの場を借りて心よりお詫び申し上げます。しかし、示説発表では、発表・討論の時間をプレナリーで設け、多くの会員が一般示説にアクセスできるようにしましたので、ご理解とご容赦のことよろしくお願い申し上げます。

3日目の学会終了後の夕刻に市民公開講座「我が国における最先端がん治療」を開催いたします。本市民公開講座は、病理学会が開かれた学術集団であることを社会に示すイベントとして重要であり、最先端のがん治療の実際とそれへの病理医の役割を市民の皆様に分かりやすく発信いたします。本市民公開講座を含め学会プログラムに多数の企業から後援をいただいております。連日のランチョンセミナーに加え、1日目のイブニングセミナー、2日目早朝にはモーニングセミナーを開催いたします。後援いただいた企業の皆様にこの場を借りて深謝申し上げます。

今回の総会は、坂元亨宇副会長をはじめ慶應義塾大学医学部病理学教室と病理診断部のスタッフ全員が力を合わせてお世話させていただきます。至らぬ点もあるかと思いますが、皆様のご参加・ご協力で盛会にしたいと思っております。多数のご参加を心よりお待ちしております。

過去の会長挨拶

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