会長挨拶

第100回 日本病理学会総会 会長 
深山 正久
(東京大学大学院医学系研究科 病理学講座 人体病理学・病理診断学分野 教授)

病理学会員の皆様

2011年、私たちは記念すべき第100回日本病理学会総会を迎えます。
2011年4月28日から30日の日程で横浜パシフィコを会場に総会を行い、続く5月1日には会場を東京大学に移し、市民公開講座、病理診断コンパニオンミーティングを開催する予定です。
準備に先立ちまして2010年の年頭に、全国の病理学教室責任者の先生方にご意見をお伺いしましたところ、多くの皆様よりご意見、ご提案を賜ることができました。あらためて篤く御礼申し上げます。

お寄せ頂いたご意見を参考にして、以下のような方針で準備を進めております。

  • 1.第100回学術集会という節目を記念する企画:メインテーマを「次の百年を創る」とし、学会の2日目(祝日)に日本病理学会百周年記念式典、講演会を行う。同時に、百周年を記念する種々の企画を行う。
  • 2.基礎・臨床医学の統合的、求心的取り組み:基礎生命科学、臨床医学の先端的融合的分野の最新情報を提供する教育講演、シンポジウムを開催する。
  • 3.若手病理医の積極的参加:若手病理医の発表の機会を増やすため、ワークショップを公募し10テーマを採択する。
  • 4.国際交流の促進:病理学教育に関する国際的情報交換、アジア諸国との交流を促進する取り組みを企画する。
  • 5.病理診断コンパニオンミーティング:臓器病理に関する企画を公募し、4日目(日曜日)、東京大学を会場(4会場)に病理診断コンパニオンミーティングを開催する。
  • 6.社会へのアピール:4日目(日曜日)に市民公開講座を開催する。

今後ともご意見をお寄せいただきますようお願いいたします。

方針の作成に当たりまして、その基礎となっている「学術集会に関する私の基本的な考え」を述べたいと思います。
病理学が対象とする範囲は広く、基礎生命科学から臨床医学、医療に及びます。これまで病理学は、この幅広さによって基礎と臨床をつなぐ架け橋とみなされ、臨床医学の基盤となってきました。近年、先端的技術の進歩によって、研究面における基礎生命科学と臨床医学の距離は急速に狭まり、トランスレーショナル・リサーチ、先端的融合的分野の形成が進み、病理学の独自性を確定することが困難になっています。一方で、医療の中における病理診断の重要性が社会的に認知されるようになり、標榜科としての病理診断科、保険診療項目としての病理診断が認められるなど、臨床医学における責務が増加しています。このように二極化に向かう動きの中にあっても、病理学は統合的、求心的なベクトルを持ち続けようとしています。この持続的な努力こそが病理学そのものと言っても過言ではないと考えます。
今後、病理学会の学術活動には、これまで以上に統合的、求心的なベクトルの強化に力を注ぐことが求められています。学術集会はその実現の具体的な場として、1)学会員の多様な研究の発表、意見交換を促進し、その魅力を若き担い手に伝え、2)基礎生命科学、臨床医学の先端的融合的分野の最新情報を提供することが重要です。加えて、3)安心、安全な医療を支える病理診断、剖検診断を保証し、4)迅速かつ的確な医療を確実にする病理診断精度の向上、病理医の生涯教育に資することを目標にすべきです。そしてさらに、5)このような学会の姿勢を広く社会に伝える場とすべきであると考えます。

病理学会員の皆様の力によって、記念すべき第100回病理学会総会を創っていきたいと思います。今後ともご支援、ご協力をよろしくお願い申し上げます。

▲ページ最上段へ