第10回日本運動器理学療法学会学術大会

大会長挨拶

第10回日本運動器理学療法学会学術大会
大会長 加藤 浩

 ディスラプション(disruption)とは、断絶や崩壊を意味する言葉です。近年では、新しいデジタル技術が既存市場を破壊するという意味で「デジタル・ディスラプション(創造的破壊)」という言葉が使われることが多いようです。今、我々を取り巻く世界は、加速する技術の進歩やグローバリゼーションにより、社会のシステム構造の変革が奔流となって起こっています。今まで、当たり前と考えていた社会の生活スタイルや常識が、明日は通用しない時代がそこにあります。昨日までの延長線上に明日はない時代の入り口に、今、我々は立っているのです。
 理学療法の世界も例外ではありません。1965年(昭和40年)に理学療法士及び作業療法士法が制定されて既に半世紀以上が過ぎました。この間、理学療法を取り巻く状況も大きく変化してきました。当時は理学療法士の数も希少で金の卵と称された時代もありましたが、今では理学療法士過剰時代と言われるようにもなっています。このような背景のもと日本理学療法士協会の会員数は、12万人を超え理学療法士過剰時代に突入しようとしています。数は充実してきたように見えますが、一方で、1人1人の理学療法の質の差も指摘されています。また、超高齢社会を迎える本邦においては、社会保障制度の見直しが迫られ、その1つとして毎年のように医療費削減に関する議論が国会でなされています。国は我々に根拠のある理学療法、質の高い理学療法を強く求めてきています。当学会会員の皆さんは、自身が理学療法士として働いている職場、職域が10年後も同様に「当たり前」のように存在していると思っていないでしょうか?今、我々は、「当たり前」が通用しない時代の入り口に立っています。社会の理学療法に対するニーズも大きく変化しており、これから先は、誰もが経験したことのないスピードで日々の理学療法も置き換わっていくことが予測されます。今日の延長線上に明日はない。正にDisruption(断絶)の時代です。いつまでも、今の理学療法という仕事が「当たり前」にあると思っている人、組織は10年後、生き残っていないかもしれません。このような時代だからこそ、真の運動器理学療法の専門職として、常に新しい知識と技術を吸収し、変化する社会のニーズに合わせて、質の高い医療、教育、研究を維持・実践していくことが必要と言えます。
 そこで、本学会のテーマは、「ディスラプション(断絶)の時代に立ち向かう」にしました。従来の運動器理学療法の概念に縛られることなく、自由な発想と思考で、新しい運動器理学療法を創造していくきっかけになれば幸いです。

このサイトについて|Copyright © 第10回日本運動器理学療法学会学術大会 All Rights Reserved.